株主・投資家の皆様へ

平素は格別のご高配とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
弊社第90期連結会計年度が終了しましたので、概況につきご報告申し上げます。
2023年6月
代表取締役会長兼CEO末廣 博
第90期連結会計年度の概要
当連結会計年度を取り巻く経営環境につきましては、大幅な円安の進行やウクライナ情勢を端緒とした原材料・エネルギー価格の高騰が続き、インフレの加速、各国での金利上昇、中国でのゼロコロナ政策による消費行動の低迷など、景気減速の懸念が強まる展開となりました。
自動車業界につきましても、資源価格の高騰が業界全体の収益を圧迫し、半導体不足などによるサプライチェーンの混乱も続いて、自動車メーカーの生産計画に大きな影響を与えましたが、現在では部品供給問題は緩和されつつある状況です。
こうした経営環境のもと、当連結会計年度については、円安による為替影響により、売上高は1,786億円(前年同期比9.2%増)と前年同期比増収となりましたが、原材料費、エネルギー費、輸送費、労務費などの諸経費の高騰と中国市場の低迷により、営業利益は68億円(同35.9%減)、経常利益は102億円(同30.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は38億円(同52.5%減)と、各利益ともに前年同期比で減益となりました。
このような厳しい経営環境ではありますが、期末配当につきましては、株主様のご期待などを勘案し、一株当たり28円とさせていただきたいと存じます。
来期は半導体および部品供給不足の影響は緩和が見込まれる一方で、インフレの高止まり、地政学リスクの継続、原材料・エネルギー価格、諸費用の高騰による収益圧迫等、引き続き厳しい経営環境が続くものと予想されますので、徹底した原価低減、合理化ならびに価格反映に注力してまいります。
両輪経営の推進
自動車業界が大変革の時代を迎え、経済・社会の変容、地球規模の環境・エネルギー問題の顕在化など、企業を取り巻く環境は大きく変化しております。弊社は、クリーンで、クオリティの高い地球社会の実現に貢献することを企業理念に掲げ、成長戦略として、既存事業であるパワートレイン事業の利益の最大化を目指し、その利益を持続的成長のため新事業への積極投資に回していくという両輪経営を推進しております。既存事業であるパワートレイン事業では、エンジンの熱効率改善や環境にやさしい水素やバイオ燃料などの燃料多様化に寄与する製品の開発・供給を推進してまいります。新事業につきましては、2040年での新事業の売上高500億円創出を目指して、グループ全社で数々のプロジェクトを進めております。急速にEV販売が伸びている中国では、中国合弁パートナーと設立した研究開発拠点TANE(TPR ARN (Anhui) New Energy R&D Co., Ltd.)を足掛かりに新分野の製品創出に積極的に取り組んでまいります。
株主の皆様の変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。