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PROJECT STORY
人とロボットが共生する社会の実現を目指して。
介護施設向けロボット「CoRoMoCo🄬」開発ストーリー。
U.Y
新事業開発企画室 2015年4月入社
工学部物質化学工学専攻 修士了
学生時代は、燃焼工学の研究室で「炎」に関する基礎研究に没頭していたU。就活ではエンジン系を扱う業界に注目。なかでもTPRは日本の基幹産業である自動車業界においてトップシェアを誇る製品を有しており、その技術力に惹かれて応募を決意する。
入社後4年間は設計の部署で、自社製品を自動車メーカーの希望する性能に改善するための形状・材質・表面処理といった試験や試作に携わる。2020年、新事業を創出する新部署「新事業開発企画室」の社内公募に手を挙げ、異動を果たす。
- PROLOGUE
- 世の中がコロナ禍で右往左往していた2020年。新事業開発企画室では、社内にて公募活動を実施し、Uを含む3名を公募メンバーとして選任。自分たちの進むべき方向性を検討し、自己のアイデアを遂行をしてきた。部署に求められるものは「TPRでやっていないことをやる」。試行錯誤の日々がはじまった。
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STORY 01
プロジェクトの第一歩は、
未来を予想することEVの台頭に反比例し、やがてエンジンは先細りになる。それをカバーしうる新規事業の開発は重大だ。そう捉えたUは、同じく公募メンバー2名とともに30年後の未来予想図づくりに取りかかった。世の中のニュースや記事を2,000個近く集めて時系列に並べ、約200本のストーリーに落とし込んでいく。そんな新事業アイデアの創出活動は、異動した日から約1年間にも及んだ。
「未来予想図づくりで目指したのは、“将来的に成長確率の高い内容”の絞り込みです。その結果8個の題材が選ばれ、個々が挑戦したいものを選びました」
Uは迷わず「人間とロボットが共生する社会」を選んだ。Uの脳裏にあったのは、二言目には“話し相手がほしい”と寂しそうにつぶやく祖母の姿。その要望を満たせる製品をこの手で作ろうと決意した瞬間だった。 -
STORY 02
高齢者にも、介護士にも、
寄り添える機能を追求TPRのグループ企業のひとつに、高齢者施設『絹の郷』がある。Uは、どのような状況だと話し相手がほしくなるのかという基本的な部分を検証するため、1ヶ月にわたり『絹の郷』に通い詰めた。
「一人の介護士に対して入居者の数が多いので、一人ひとりにかけられる時間はそう多くはありません。そのためストレスがたまり、必要以上に介護士を呼ぶといったことが生じます。デイサービスの利用者も自宅に戻ると一人の場合が多く、会話が全くなくなってしまうのです」
実地調査により、話したい内容だけでなく歌やにらめっこなど、高齢者が話し相手に求める要素が少しずつ見えてきた。そしてUは、ロボットにどのような機能を持たせれば導入してもらえるか、介護士の目線からも検証を重ねていく。
「抱っこすれば会話できる可愛いロボットは他にもあります。だから、介護士にとっても多くのメリットがあれば、きっと導入していただけると考えました」 -
STORY 03
ついに掴んだ、事業化への道筋
Uは、高齢者や介護士から意見を収集し、手触りや質感、表情検知によるタイムリーな会話、設定した時間における入浴などの行動促進、心拍などのバイタルデータ測定、Wifiを介したPCとのデータ連動など、さまざまな要望を取り入れながら試作を進めていった。
「実は、いちばん高いハードルは社内理解だと考えていました。なにしろTPRの事業とは全く異なる分野ですから。そこで、私は初期の試作段階から多くの社員に見てもらうことで、リアリティを伝えようと考えました。そうした地道な努力により事業化に向けたプレゼンテーションも無事に通過し、安堵しました」
そして2022年10月、早く事業化したいというUの上申により、新たなメンバー2名が加わり、ロボット開発チームとして新たなスタートを切った。この高齢者向けロボットは「CoRoMoCo🄬(コロモコ)」と命名され、2023年3月には東京ケアウィーク'23にて試作機を披露。さらに社会福祉協議会などを通じて数十件におよぶ全国の介護施設でプレ導入されるなど、着実に事業化への準備が進んでいる。本当の挑戦は、ここから。2023年冬の事業化に向けて、Uは束の間の達成感を噛み締めるのだった。
- EPILOGUE
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人とロボットが共生できる社会の実現を目指し、開発者としてさらなる高みを目指したいとUは言う。
「事業化を果たした後は、『CoRoMoCo🄬』をTPRの主力事業として成長させることが目標です。また、現状にとどまることなく、『CoRoMoCo🄬』の技術を発展させていきたいと考えています。そのためには常に目標を忘れず、ブレないことが大切。いつかは開発者としてロールモデルになれるよう、これからも挑戦し続けていきたいですね」
Uと「CoRoMoCo🄬」の成長ストーリーは、まだまだ始まったばかりだ。